【共催】第23回日本生化学会 JBSバイオフロンティアシンポジウム「レドックス超分子医学生物学フォーラム:International Forum for Redox Supermolecule Biology & Exploratory Medicine」
集会URL: https://redoxweek2025.jp/
1)シンポジウムタイトル
レドックス超分子医学生物学フォーラム
International Forum for Redox Supermolecule Biology & Exploratory Medicine
2)オーガナイザー
西田基宏(九州大学 大学院薬学研究院)
斎藤芳郎(東北大学 大学院薬学系研究科)
3)シンポジウムの趣旨
生命科学分野において、レドックス依存的なフラックス動態の生体応答は、これまで、酸素単体である分子状酸素の電子授受である好気的な呼吸に代表されるレドックス応答のみが注目されてきた。一方で、これら活性分子種は不安定で短寿命であるため、生体内の本来の分子形態が、現在認識されている生体分子の化学構造とは必ずしも一致しないことが問題視されてきた。さらに近年では微量の生命金属や、生体に豊富に存在する硫黄原子との相互作用によって形成される新規代謝物がユニークな生理活性をもつことも示されてきた。こうした一連の分子群をレドックス超分子と総称し、新たなレドックス超分子の探索とユニークな化学的特性の解析が始まっている。本シンポジウムでは、レドックス超分子の代謝機構とそれに関連する細胞の生存戦略や死制御機構、および医療応用を推進する最新の知見を紹介するとともに、個々の研究者が抱える課題を共有することで、レドックス超分子学を軸とした世界的な有機的連携ネットワークの構築を目指す。
第20回JBSバイオフロンティアでは、レドックス超分子の代表格ともいえる超硫黄分子(同種の硫黄原子が直鎖状または環状に連結した分子種の総称)に着目したバイオフォーラムが採択され、日本人研究者が世界をリードする形で新たなグローバルネットワークの構築に貢献した。令和3年度より学術変革領域A「硫黄生物学(代表:本橋ほづみ)」が採択され、領域との連携により、我が国発の新しい硫黄生物学研究を加速する機会を得た。このフォーラムから生まれた国際共同研究成果として、超硫黄分子の抗酸化機能や抗炎症機能、ミトコンドリアにおけるエネルギー産生・品質維持への寄与など、重要な生命機能が次々と明らかにされている (Kanemaru et al., J Clin Invest, 2024; Fujita et al, Nature Struc Mol Biol, 2024; Sekine et al, Nature Metab, 2024; Nishimura et al, Nature Commun, provisionally accepted)。海外の研究者からも、Na2S2の形成促進剤の開発 (Qui et al, Nature Commun, 2024)、硫黄によるフェロトーシス抑制 (Barayeu et al., Nature Chem Biol, 2023) などが報告されている。こうした成果を基盤に、昨年度には国際先導研究(代表:赤池孝章)が採択され、若手研究者を中心に、国内外のレドックス研究者の学術交流・有機的連携を強化するチャンスも得ることができた。そこで、2025年4月にレドックス超分子をテーマにした国際会議を開催し、我が国発の生化学の新しい展開を国内外に発信する重要な機会とする。
4)開催場所・開催日時
東北大学星陵キャンパス(宮城県仙台市)
2025年4月17日(木)~4月21日(月)
5)主な招待者
Jonathan S. Stamler (Case Western Reserve University, US)
Ruma V. Banerjee (the University of Michigan, US)
Miriam Cortese-Krott (Heinrich-Heine-University, Germany)
Uladzimir Barayeu (Max-Planck-Institut for Polymer Research, Germany)
Philip Eaton (Queen Mary University of London, UK)
Peter Nagy (National Institute of Oncology, Hungary)
Tobias Dick (DKFZ, Heidelberg, Germany)
Albert van der Vliet (University of Vermont, US)
David Wink (National Cancer Institute, NIH, US)
Marcus Conrad (Helmhotz Munich, Germany)
Vadim N. Gladyshev (Harvard Medical School, US)